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ちょっとした体の不調は亜鉛不足の可能性かも?

亜鉛は五大栄養素のうちミネラルに分類されます
亜鉛は五大栄養素のうちミネラルに分類されます

ダイエット法にはいろいろなものがありますが、栄養バランスを考えない食事制限を行うと、さまざまな栄養素が不足し思わぬ不調を招くことがあります。
食事量を減らすダイエット中に起こる不調は、鉄不足による貧血、食物繊維不足による便秘などが代表例。そして、あまり意識することのない栄養素である「亜鉛」不足によっても不調が起こります。

【contents】

亜鉛とはどんな成分?

亜鉛はタンパク質の合成、免疫反応などのほか、DNA合成にも必要です

亜鉛は五大栄養素のうちミネラルに分類され、体内で作ることができない「必須微量ミネラル」で、成人の体内には約2~4gがあります。主に筋肉と骨に存在しているほか、肝臓、腎臓など多くの臓器にも含まれています。

200種以上の酵素の構成要素で、体内のさまざまな反応に関わっています。ホルモンの合成や分泌の調整、タンパク質の合成、免疫反応などのほか、DNA合成にも必要なので、胎児や乳児の発育や生命維持に重要な役割があります。新しい細胞が作られる器官や組織で必須のミネラルであり、味覚に関わる細胞をつくる働きもあるので、食べ物の味を感じるのにも欠かせません。

亜鉛が不足すると起こること

亜鉛欠乏になると皮膚炎や口角炎、や脱毛、爪が弱くなるなどの状態になります

●抜毛・肌・爪トラブル
亜鉛は皮ふや粘膜、爪、毛髪の状態を良好に保つのに役立ちます。
これらを構成するタンパク質の合成に亜鉛が関わっており、そのため亜鉛欠乏になると皮膚炎や口角炎、や脱毛、爪が弱くなるなどの状態になります。

●味覚異常、舌がピリピリする
味覚は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5味によって成り立っています。これらを感じ取っているのは、舌の上部にある細胞である味蕾(みらい)です。味蕾はターンオーバー(新陳代謝)が速く約1か月毎に生まれ変わるのですが、そのためには亜鉛が必須です。
亜鉛が不足すると、味覚障害や舌がピリピリするような異常感覚が生じる可能性があります。

●貧血
貧血というと鉄不足のイメージが強いですが、実は亜鉛不足もその原因になります。酸素を運ぶ赤血球を増やすのに欠かせない栄養素です。

●食欲不振・下痢
亜鉛が不足すると、胃や腸など消化管の働きが悪くなり、食欲が低下します。食べる量が減ることでさらに亜鉛が不足し、悪循環を招いてしまうこともあります。

●免疫
最近の研究によると、亜鉛は免疫細胞の働きを活性化させ、欠乏すると免疫の働きが低下するといわれています。これらの研究から、ウイルス性感染症などの対策に亜鉛を摂り入れることが世界的にも注目されています。

亜鉛は1日にどのぐらい摂取すれば良い?

あらゆる食品の中でも最も多く亜鉛を含んでいるのは牡蠣です

日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日の亜鉛摂取の推奨量は成人女性で8mg、成人男性で11mgとされています。
一般的な食生活であれば亜鉛の過剰摂取になる可能性は低いですが、サプリメントを摂取することで過剰摂取になる可能性があります。
過剰摂取は銅の吸収阻害、貧血、胃の不調、下痢などの症状が出る恐れがあります。耐容上限量(過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量)は、女性18~74歳で35mg、75歳以上で30mg、男性18~29歳は40mg、30~64歳で45mg、65歳以上で40mgと設定されています。

亜鉛は肉類や魚介類に多く含まれているため、ヴィーガンなど動物性食品を食べない人は不足しやすいミネラルだと言われています。また、栄養バランスの偏った食事や極端なダイエットによっても、亜鉛の摂取量は不足しがちになってしまいます。

さらに、亜鉛の吸収を妨げる成分もあります。加工食品に含まれる添加物のポリリン酸やリン酸は、亜鉛の吸収を妨げることがあるので注意が必要です。また、アルコールによって亜鉛の排泄量が増加するため、飲酒量が多い人は注意しましょう。
玄米や豆類に含まれるフィチン酸も亜鉛の吸収を阻害をするといわれることがありますが、バランスの取れた食事をしていれば、吸収や利用性に影響しないことが判明してきています。

亜鉛が多く含まれる食品

亜鉛は肉類や魚介類に多く含まれます

亜鉛はクエン酸やビタミンCと一緒に摂ることで吸収が良くなるとされています。レモン汁、お酢、ポン酢などを調理に用いる、野菜と一緒に食べる、デザートにフルーツを食べるなどが吸収率を高めるのに効果的です。

●牡蠣
あらゆる食品の中でも最も多く亜鉛を含んでいるのは牡蠣です。100g中14gもの量が含まれ、
牡蠣のむき身5~6個で成人女性1日分の摂取推奨量を満たすことができます。

●牛肉、豚レバー
肉類では牛もも肉やヒレなどの赤身肉や、豚レバーに亜鉛が多いです。
牛もも肉なら100gあたり4.8mg、豚レバーは6.9mgが含まれています。
豚レバーはビタミンAも豊富なので、亜鉛と併せて皮ふや粘膜の強化に期待できる食材といえるでしょう。

●鰻
蒲焼の場合、100gあたり2.7mgの亜鉛が含まれています。1串がおよそ100gなので、蒲焼丼にすれば1日の3分の1ほどの量の亜鉛を摂取することができます。

●ごま、アーモンド、焼きのり
100gあたり、ごまは5.9mg、アーモンドは3.6mg、焼きのりは3.6mgの亜鉛が含まれています。どれも大量に食べるものではありませんが、料理に使うことで亜鉛を補うことができます。

関連記事
健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-zn-cu.html
一般社団法人 日本臨床栄養学会http://jscn.gr.jp/pdf/aen2018.pdf
PMC https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2277319/
理化学研究所 https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/press/2006/20060807_1/20060807_1pdf.pdf
日本人の食事摂取基準(2020年版) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf

今回のまとめ

亜鉛不足は味覚障害だけでなく、嗅覚、舌痛、口内炎、口角炎、肌の乾燥など実にさまざまな欠乏症状があります。
普段あまり気にすることのない栄養素かもしれませんが、必要量を摂れるよう意識しましょう。

Category : 雑学/健康・ダイエット

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