肥満と病気の関係 リスクと健康への影響
肥満は現代社会において深刻な問題となっています。食習慣の変化や運動不足などが原因で肥満が増加する中、その影響は単なる体型の問題にとどまりません。今回は肥満が招く病気に焦点を当て、そのリスクと健康体重について考察していきます。
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どの範囲までが健康体重?肥満の定義
厚生労働省の令和元年(2019)「国民健康・栄養調査」身体状況及等に関わる調査結果によると、肥満(BMI≧25 kg/m2 )の割合は男性 33.0%、女性22.3%であり、この10年間では女性では有意な増減はみられませんが、男性では平成 25 年から令和元年の間に有意に増加しています。
肥満の問題を理解する上で、健康体重の定義をまずは知っておきましょう。健康体重は個々の年齢や性別、筋肉量などの身体的特徴や生活環境によって異なりますが、一般的にはBMI(Body Mass Index)という指標が用いられます。BMIは体重を身長の二乗で割った値で、18.5から24.9の範囲が健康体重とされています。
健康体重を維持するためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。食生活の見直しや定期的な運動は、肥満に伴う健康リスクを軽減するだけでなく、全体的な生活の質を向上させることにもつながります。
以下は、日本の厚生労働省が提供しているBMIに基づく肥満の分類です。
自分のBMIを算出してみましょう。
BMI(kg/㎡)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
(例)身長160cm、体重60kgの場合
60(kg)÷1.6(m)÷1.6(m)= BMI 23.4
BMI 18.5未満: 低体重
BMI 18.5 - 24.9: 普通体重
BMI 25 - 29.9: 肥満度1(軽度の肥満)
BMI 30 - 34.9: 肥満度2(中等度の肥満)
BMI 35 - 39.9: 肥満度3(重度の肥満)
BMI 40以上: 肥満度4(非常に重度の肥満)
この基準は一般的な健康診断や健康相談で使用され、BMI25を超えると減量を勧められることがあります。しかしこの指標には限界があり、筋肉量や体脂肪率を考慮していない数値であるため、正確な健康状態を反映しきれないことがあります。例えば、脂肪よりも重い筋肉の割合が多い場合はBMIが高くなりがちですが、それが健康的な状態であることもあります。個々の健康状態を詳しく知りたい場合は、専門家に相談することが重要です。
肥満はどんな病気を引き起こすのか
肥満かどうかのひとつの指標であるBMI25以上は、ダイエットが推奨されます。肥満は見た目だけの問題ではなく、健康状態に与える影響が多岐に渡るためです。
まず第一に挙げられるのは心血管疾患です。過剰な脂肪が血管を詰まらせ、高血圧や動脈硬化のリスクを増大させます。これにより、心臓への負担が増し、心筋梗塞や脳卒中などの合併症が引き起こされる可能性が高まります。
また、2番目に挙げられるのは糖尿病です。肥満はインスリンの効果を弱め、血糖値の上昇を招くことがあります。これが長期間続くと、2型糖尿病の発症リスクが増すとされています。糖尿病は血管や神経に悪影響を及ぼし、合併症のリスクを高めます。
さらに、肥満はがんの発症リスクをも増加させます。特に大腸がん、乳がん、子宮がんなどがその代表例です。肥満により脂肪細胞から分泌される物質が炎症を引き起こし、がんの発生を促進すると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)も肥満が密接な関係があります。肥満の増加は首周りの脂肪が増え、気道を圧迫しやすくなるため、SASのリスクを高めます。過剰な体重は気道の閉塞や舌の崩れを引き起こし、睡眠中の一時的な呼吸停止を誘発する可能性があります。これにより、睡眠の質が低下し、昼間の眠気や集中力の低下、心血管疾患のリスクが増加します。肥満の管理がSASの予防や治療に有益であることが示唆されています。
日本肥満学会による、肥満に起因ないし関連し減量を要する健康障害一覧は以下の通りです。
(肥満症診療ガイドライン2016より)
耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
脂質異常症
高血圧
高尿酸血症、痛風
冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)
脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作(TIA)
脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患、NAFLD)
月経異常、不妊
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
運動器疾患:変形性関節症(膝、股関節)、変形性脊椎症、手指の変形性関節症
肥満関連腎臓病
肥満を解消を目指し健康的な生活を
肥満は単なる見た目の問題だけでなく健康に大きな影響を及ぼし、心血管疾患や糖尿病、がんなど多くの病気のリスクを増加させる要因となります。健康体重の概念を理解し適切な生活習慣を身につけることが、肥満に伴うリスクを最小限に抑え健康を維持するために大切です。
適度な運動と栄養バランスのとれた食事は、美容にメリットがあるだけでなく心身の健康にも大きく寄与するでしょう。
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E-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-002.html
日本内科学会雑誌 107 巻 2 号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/2/107_262/_pdf/-char/ja
日本肥満学会 http://www.jasso.or.jp/index.html
日本生活習慣病予防協会 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2020/010346.php
今回のまとめ
日本は世界でも肥満率が非常に低い国です。
とは言っても、WHOによる肥満の定義はBMIが30以上であり、日本で肥満とされるBMI25以上は「過体重Overweight」と定義されています。
日本ではBMI25~29.9の軽肥満が多く、人口の20%以上にも上ります。
体を動かすことや食事内容・量を適切にし、健康的な生活を意識しましょう。