ベジファーストより効果的?プロテインファーストでダイエット促進

健康やダイエットを意識する人の間で、食べ方に関する工夫が注目されています。その中でもここ数年ほど支持されてきたのが「ベジファースト」、つまり食事の最初に野菜を食べる方法です。血糖値の急上昇を抑えられ、成人病予防やダイエットに効果があるとされ、多くの人に取り入れられてきました。
しかし近年は、ベジファーストの効果が思ったほど大きくないという研究報告も出ています。一方で、野菜よりもタンパク質を先に食べる「プロテインファースト」が、血糖コントロールやダイエットに有効であるとの研究結果が増えてきました。今回は、食べる順番が体に与える影響を科学的データをもとに解説し、日常に取り入れるための工夫を紹介します。
【contents】
食べる順番がダイエットに影響するのはなぜ?

インスリンは血糖を細胞に取り込み、エネルギーとして使ったり脂肪として蓄えたりする働きを持ちます。
食事をすると、食品に含まれる糖が吸収されて血糖値が上がり、それに反応してインスリンが分泌されます。インスリンは血糖を細胞に取り込み、エネルギーとして使ったり脂肪として蓄えたりする働きを持ちます。問題は、血糖値が急激に上がるとインスリンも大量に分泌され、結果として脂肪の蓄積を促してしまうことです。さらに、血糖値の乱高下は空腹感を強め、食べすぎや間食につながります。
血糖値の上昇スピードは、食事で最初に摂る栄養素によって左右されます。糖質から先に食べると一気に吸収されて血糖値が急上昇しやすくなりますが、食物繊維やタンパク質を先に摂れば消化吸収がゆるやかになり、血糖値の変動が抑えられます。そのため食べる順番を工夫することは、血糖コントロールや食欲の安定に直結します。
ダイエットにおいて「何を食べるか」だけでなく「どの順番で食べるか」が重要視されるのはこのためです。
ベジファーストの効果と課題

日本国内の研究でも、野菜を先に食べた場合は食後血糖値の上昇が緩やかになると報告されています。
ベジファーストでは、野菜に含まれる食物繊維が糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値上昇を抑えると考えられています。実際、日本国内の研究でも、野菜を先に食べた場合は食後血糖値の上昇が緩やかになると報告されています。
ただし効果はあくまでも限定的で、全体の食事内容や糖質量が多ければ血糖コントロールは難しくなります。さらに「ベジファーストだけを実践すれば太らない」といった誤解も広がりやすく、実際のダイエット効果はそれほど大きくないのが現実です。
プロテインファーストの科学的根拠
プロテインファーストとは、肉・魚・卵・大豆製品などのタンパク源となる食品を、糖質よりも先に食べる方法です。タンパク質は消化に時間がかかるため胃の滞留時間が長くなり、血糖値の上昇を緩やかにすると考えられています。
米国の大学による研究では、糖尿病患者を対象に、食事の最初にタンパク質と野菜を摂取し、最後に炭水化物を食べるグループでは、炭水化物を先に食べた場合と比較して食後血糖値のピークが最大73%低下しました。またインスリン分泌も抑制され、食後の代謝に有利な結果が示されています。
ベジファースト vs プロテインファースト

野菜とタンパク質を先に食べ、炭水化物(糖質)を最後にするという「カーボラスト」の食べる順番が理想的だといえるでしょう。
結論としては、どちらか一方ではなく「両方を組み合わせる」ことが最も効果的です。
野菜に含まれる食物繊維は満腹感をもたらし腸内環境を整え、タンパク質は血糖値を安定させながら筋肉量の維持に役立ちます。上述の研究結果でも、タンパク質と野菜を組み合わせた場合に最も血糖コントロールが良好でした。
したがって実践する際は、野菜とタンパク質を先に食べ、炭水化物(糖質)を最後にするという「カーボラスト」の食べる順番が理想的だといえるでしょう。
日常に取り入れる工夫

納豆や豆腐は植物性タンパク質で消化も穏やか。食物繊維も含まれるため一石二鳥です。
難しい特別な方法は必要ありません。食事の際に、ちょっとした工夫するだけですぐに実践することができます。
⚫︎和定食スタイルを活用
一汁三菜の和定食のスタイルは、ご飯を最後に食べるだけで、自然にプロテインファースト+ベジファーストが実践できます。
⚫︎大豆製品を積極的に
納豆や豆腐は植物性タンパク質で消化も穏やか。食物繊維も含まれるため一石二鳥です。
⚫︎外食時の工夫
副菜や味噌汁、サラダ、メインの肉や魚をまず食べ、ご飯は締めに回すとシンプルに実践できます。パスタや丼ものは、サラダや小鉢、スープなどを添えるようにし、先に食べると良いでしょう。
栄養学的視点からのメリット
厚生労働省「国民健康・栄養調査(2022年)」によると、日本人女性のエネルギー摂取量のうちタンパク質の割合は平均で約14%とされ、推奨量を下回るケースも見られます。筋肉量の維持に必要なタンパク質を不足させないためにも、毎食意識的に摂取することが重要です。
さらに、タンパク質の摂取が筋肉合成をサポートし、加齢による筋肉の減少の予防にも役立つことが分かっています。美容やダイエット目的にとどまらず、健康寿命を延ばすためにも、プロテインを意識的に摂取する考え方は有効といえるでしょう。
関連記事
厚生労働省「国民健康・栄養調査(2022年)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30867.html
Weill Cornel Medicine https://jcto.weill.cornell.edu/news/food-order-has-significant-impact-on-glucose-and-insulin-levels?utm_source=chatgpt.com
米国糖尿病学会(ADA)https://diabetesjournals.org/
今回のまとめ
食べる順番を工夫するだけで、血糖値の安定や満腹感の持続が得られ、無理のないダイエットにつながります。
従来のベジファーストは一定の効果があるものの、プロテインファーストを組み合わせることでより強い効果が期待できます。
野菜とタンパク質を先に、炭水化物は最後に。
カーボラストのシンプルな習慣を続けることで、体型維持だけでなく健康寿命を延ばすことにもつながるでしょう。
































