環境問題に目を向けるとダイエットが成功する!?
そのメニューのCO2排出量は?
飲食店のメニューには、金額とともにカロリーや栄養成分が表示がされていることがあり、ダイエット中ならそれらをチェックすることもあるでしょう。ではカロリーだけでなく、そのメニューが作られるまでに排出されたCO2(二酸化炭素)の量が記載されていたらどうでしょうか?
米国・ニューヨーク発の人気サラダ専門店「Just Salad」では、すべての商品にカロリー表記とともに「カーボンフットプリント(CFP)」を表記しています。
カーボンフットプリントとは
カーボンフットプリントとは、直訳すると「炭素の足跡」です。 その商品が出来上がるまでに排出されたCO2の量が記載されたもので、気候変動への影響を数字で確認できるというもの。この取り組みは、消費者に環境問題に意識を向けてもらうという狙いがあるようです。
実際、同店でCO2排出量が少ないメニューを提供したところ、これらの商品の売上が20%以上伸びたといいます。
本コラムで以前にご紹介した「体にも地球に優しい「プラネタリーヘルスダイエット」とはどんなもの?」や「肉を食べることが温暖化に影響?アメリカで大注目の代替肉」といったようなダイエット法が近年出現しているように、世界では今、環境問題と食生活との関連性に意識を向けさせる動きがあります。
環境に配慮した結果として、ダイエットや健康問題も解消できるという考えが広まりつつあるのではないでしょうか。環境問題×ダイエットという観点で、具体的に私たちができることとは?
【contents】
- そのメニューのCO2排出量は?
- 牛の飼育が地球温暖化の一因に!
- アメリカでは代替肉がポピュラーな存在に
- 地球環境のための健康的な食事に
- 1.5トンのCO2削減に!クライマタリアンダイエットとは
- 自分自身が続けられる方法を選ぼう
牛の飼育が地球温暖化の一因に!
地球温暖化が大きな問題となって久しいですが、温暖化に影響を及ぼしていると考えられているCO2の排出は、食糧生産がその20〜30%を占めています。その中でもさらに、肉を食べることが温暖化に大きな影響を与えているようです。
全世界の温室効果ガス排出の18%が畜産業関連とされ、特に牛肉の生産による排出量が最も多く、畜産業全体の排出ガスの約80%にも上るそうです。牛が食べる飼料の生産・加工、牛のたい肥から発生するガスなどが主な排出源となっており、輸送時の排出は意外にもわずか5%程度とのこと。
カーボンフットプリントの表記を始めたJust Saladでは、CO2排出量の表記のみならず、牛肉生産の環境への影響を理由に、牧草飼育のビーフステーキをプラントベース(植物原料)の代替肉の代表的なブランドである「ビヨンドミート」を使ったミートボールに置き換えるといった具合に、環境問題とヘルシーを両立させています。
アメリカでは代替肉がポピュラーな存在に
国連食糧農業機関(FAO)も、動物を食用に飼育することが世界的な環境問題になっていることを示唆しており、そこで注目が高まっているのが植物由来の「代替肉」です。フェイクミートと呼ばれることもあります。
これまで代替肉と言えばベジタリアンやヴィーガン、マクロビオティックなど肉を食べない人々のためのものでしたが、これからは環境問題のために肉食を減らす必要があるという考えが世界的に広まりつつあり、アメリカでは日常的な食の選択肢として人気を博し定着しています。原材料には、エンドウ豆のタンパク質やキャノーラ油、ココナッツオイルなどが使われており、まず見た目が肉にそっくりな上に、味の面でもクオリティーが高いと評判も上々。
一方日本における代替肉は、大豆が原料のソイミートが知られていますが、まだ一部の人々が取り入れる程度に留まっているのが現状と言えるでしょう。
地球環境のための健康的な食事
肉よりもプラントベースの食品を食べるほうが環境にも体にも優しい。それを証明したレポートがあります。「プラネタリーヘルスダイエット(The Planetary health diet)」という食事法です。直訳すると、「地球の健康な食事」。「ダイエット」という名ではありますが、英語でのdietとは減量という意味のほか、食物・食事制限・食生活などの意味を持ち合わせています。
このダイエットの食事法なら、続けることで健康な体を維持することができ、地球環境にも優しいというのが特徴だといいます
この食事法は、世界16カ国の研究者たち37名で構成されたグループが科学的な根拠に基づき、人類の健康増進とサステナブルな(持続可能な)食料システムを推進する食生活の指針をレポートにまとめ公開しています。
研究グループによるレポートでは、プラントベース(全粒穀物、野菜、果物、豆類などの植物性食品)の食品を大量に摂取することが推奨され、反対に減らすべき食品として、牛・豚・羊などの赤身肉(レッドミート)、魚、卵、砂糖、精製穀物が挙げられています。
これによる効果は、世界で年間1100万人以上の人たちが食生活に関連した病気で命を落とさずに済むこと、増え続ける人口に対し食料を持続的に供給することができること、温室効果ガスの排出量を減少させることなどとのことです。
プラネタリーヘルスダイエットの詳細はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=smU2G9anWSo
1.5トンのCO2削減に!クライマタリアンダイエットとは
プラネタリーヘルスダイエットに近い食事法として、「クライマタリアンダイエット(Climatarian diet)」というものが、海外の栄養アプリ「Lifesum」の医師らにより考案されています。
クライマタリアンダイエットも、食事の基本をプラントベースにすることで肥満や心疾患などの生活習慣病を改善し、さらに1人あたり年間1.5トンものCO2を削減することが可能だとしています。
プラントベースということプラス、地元産の季節の農産物を消費すべきだというのがこのダイエット法で、推奨されている食品は以下の通り。こうした食品を食事に加え、朝食を100%プラントベースにすることや、週末はプラントベースの食事で過ごすことを提唱しています。
●豆類(レンズ豆や大豆など)
栄養価が高くタンパク源となる豆類。牛肉を豆類に置き換えることは、より持続可能な食事法だとしています。
●地元や季節の野菜・果物
地元や旬のものを購入することで、加工、包装、輸送、食品の無駄を減らすことができます。
●玄米、小麦を含む全粒穀物
全粒穀物にはビタミンやミネラルが豊富で健康上のメリットが多く、しかも環境に必要な処理とエネルギーが少なくてすむため、CO2排出量が削減されます。
●ナッツ類
ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、ヒマワリの種、スイカの種、カボチャの種などの種子類。
●鶏肉
肉の生産の中でも特に牛肉はより多くの土地と水を必要とし、CO2排出量も多いです。牛肉を鶏肉に換えると、CO2排出量をほぼ半分に減らすことができるといいます。
自分自身が続けられる方法を選ぼう
プラネタリーヘルスダイエットやクライマタリアンダイエットのルールをそのまま実践するのは難しい部分もありますが、完璧に実践しようとしなくても自分のできる範囲で良いと思います。例えば、白米を玄米に、牛肉を鶏肉や魚に、季節の野菜や果物を積極的に食べるなど。
玄米と野菜を中心とした和食を心掛けていれば、小難しいこともなく環境と健康の両方に自然と配慮することができます。自分自身が「持続可能」な食事法であることが大事なので、ライフスタイルに合ったものを取り入れましょう。
関連記事
The Lnacet https://bit.ly/2MG7JWs
European Commision https://bit.ly/3e8ORe2
Oregon State University https://bit.ly/3bqZneR
Lifesum https://lifesum.com/
一般社団法人サステナブル経営推進機構 https://www.cfp-japan.jp/about/
今回のまとめ
日本ではまだあまり馴染みのないカーボンフットプリント。スーパーで見かける食品や家電などに記載されている場合があるので、もし見かけた際にはその商品がどれだけのCO2排出をしているのかを意識してみてはいかがでしょうか。