体脂肪を燃焼させる「褐色脂肪細胞」を活性化する方法
脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があります。
いわゆる体脂肪というのは白色脂肪細胞のこと。一方、褐色脂肪細胞は脂肪細胞という名称でありながらも、脂肪を燃やしてくれる細胞です。
同じ脂肪細胞なのにもかかわらず相反し、肥満に抗う力を保つ褐色脂肪細胞とはどんなものなのでしょうか?この機能をうまく使いダイエットをするには、どのような方法が有効なのでしょうか?併せて解説します。
【contents】
体脂肪=白色脂肪細胞
いわゆる体脂肪というのは白色脂肪細胞のこと。食べたものの余剰エネルギーをストックし、エネルギー源として機能しています。白色脂肪細胞は全身にあり、特に下腹部、お尻、太もも、背 中、腕の上部、内臓の回りなどに多く存在しています。成人の体を構成するおよそ60兆の細胞のうち、250~300億個(肥満体の人の場合は400億~600億)ほどが白色脂肪細胞であるといわれています。
白色脂肪細胞は数が増える時期が決まっており、胎児の時期、生後1年あまりの時期、思春期の3期間。しかしそれ以外にも、過度の肥満状態になるとその数を増やしてしまうことがあります。しかも、増えることはあっても減ることはありません。そのうえ、蓄積する脂肪の量次第で1つの細胞を3~4倍に膨張させることもできると言われています。脂肪がエネルギーとして利用(=燃焼)されれば縮小します。それが「やせる」という現象です。
脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞とは?
同じ脂肪細胞という名前を持ちながら、白色脂肪細胞とは反対の働きをしているのが褐色脂肪細胞です。通常の白色脂肪細胞はエネルギーを蓄える役割を持っていますが、褐色脂肪細胞はエネルギーを燃焼し熱を産生する働きをします。そしてこの褐色脂肪細胞の機能低下や数の減少が、生活習慣病やメタボリックシンドロームの原因になることが分かってきました。
白色脂肪細胞が全身に存在するのに対して、褐色脂肪細胞は首の周り、脇の下、肩甲骨の周り、腎臓など存在場所は限定され、体内のエネルギーを熱に変え体温を保つ働きがあります。
この褐色脂肪細胞がきちんと働いていると、脂肪が燃焼されやすくなり、やせやすい体になるのです。その働きは個人差があり、活発な人ほどやせやすく太りにくいと考えられています。生まれたときには100gほどあったものが大人になる頃には40g程度に減ってしまい、残念ながら増えることはありません。しかしうまく活性化することができれば、エネルギーを燃やすことができます。特に寒冷環境で活性化され、交感神経の活動が高まるにつれて褐色脂肪細胞が活性化し、体温が下がりすぎないよう熱を生み出します。
褐色脂肪細胞とダイエットとの関係は、まとめると以下の通りです。
●エネルギー消費の増加
褐色脂肪細胞が活性化されると、体内の余分なカロリーを燃焼し熱として放出します。これにより、エネルギー消費が増加し脂肪が蓄積されにくくなります。
●基礎代謝の向上
基礎代謝とは、何もしていない状態でも消費されるエネルギーのことです。褐色脂肪細胞が活性化すると基礎代謝が上がり、ダイエット効果を高めることができます。
●体温の維持
褐色脂肪細胞は体温を維持するための熱を生み出すので、寒冷環境下でもエネルギーを消費しやすくなります。これもまた体重管理に関わっています。
褐色脂肪細胞を活性化する方法
脂肪をエネルギーに変換し消費するはたらきをする褐色脂肪細胞。うまく活性化することによってダイエット促進をすることが可能です。以下の3つの方法によって活性化することできるので、できることから始めてみましょう!
①寒冷刺激
冷たいシャワーや冷水浴、寒冷環境での運動などが褐色脂肪細胞を活性化する効果があります。
おすすめしたいのが水泳です。褐色脂肪細胞を活性化させるのに、最も効果的な方法だといわれています。体温より低い温度の水中で体温を保つために、身体は熱を生み出す必要がありますから、燃焼効果が期待できるでしょう。
プールに行くことが難しい場合は自宅で冷水シャワーを浴びるだけでも良いでしょう。一定の効果が期待できると考えられています。その場合、いきなり冷水をかけずに温水から慣らしていってください。
②適度な運動
褐色脂肪細胞の多い部位を動かすことが、活性化に有効です。
例えば肩甲骨周り。この周辺に刺激を与え柔軟性を持たせ可動域を広くすると、褐色脂肪細胞が活発に働きだします。肩甲骨周辺を動かすことは、肩こりにも有効です。
肩甲骨ストレッチの方法
1: 両手を体の横に付け、脚を肩幅に広げて立ちます。そして両手を広げ、頭の上に持っていき、手のひらを合わせます。
2: 頭の上の両腕を肘からできるだけ後ろに引きます。息を止めず、できるだけ肩甲骨が中央に寄るように意識して行います。
3: 肩を前回り・後ろ回りさせます。ゆっくり行ってください。
4: 最後は、深い深呼吸をしながら、両手のひらを背中で合わせ合掌させます。
③食事の工夫
唐辛子に含まれるカプサイシン、緑茶のカテキン、生姜のジンゲロンやショウガオール、こしょうのピペリンなどには、褐色脂肪細胞を活性化する作用があることがわかっています。
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公益社団法人生化学 https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2021.930024/data/index.html
今回のまとめ
褐色脂肪細胞はエネルギーを燃焼して熱を生成する細胞であり、ダイエットや体重管理において重要な役割を果たしています。
寒冷刺激や運動、特定の食品を通じて褐色脂肪細胞を活性化することで、エネルギー消費を増加させ、脂肪を蓄積しにくくすることが可能です。
寒冷刺激と肩甲骨周りの運動の両方を同時に行うことができる水泳は、特におすすめの方法です。泳ぐ際はビート板を使うのではなく、クロールや平泳ぎなどといった腕を大きく動かす泳法によって肩甲骨周辺に刺激を与えましょう。