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「がんばらない腸活」が次のトレンド?腸疲労を防ぐ食べ方

深呼吸、軽いストレッチ、入浴、良質な睡眠などで自律神経を整えることも、腸を休ませることの一部となります。
深呼吸、軽いストレッチ、入浴、良質な睡眠などで自律神経を整えることも、腸を休ませることの一部となります。

腸を整える「腸活」。ダイエット、美肌、健康、メンタルの安定など、すべてに良い効果があるというのが昨今では常識となっています。
ここ数年で腸活というワードは健康や美容の分野で定番化し、発酵食品や食物繊維を強調した商品が次々と登場しています。
しかしその一方で、「毎日発酵食品を何種類も食べているのに、お腹の調子が悪い」「食物繊維を意識しすぎて逆に便秘になった」という声もあるようです。
こうした腸のオーバーワークともいえる状態を、最近では「腸疲労」と呼ぶケースもあります。医学的な正式名称ではありませんが、腸内環境のバランスが乱れ、消化吸収や免疫機能が一時的に低下した状態を指す言葉として広がりつつあります。なぜ腸疲労が起きるのでしょうか。その原因と改善方法とは。

【contents】

腸疲労とは? 腸が疲れるメカニズム

腸疲労の原因は腸活のしすぎだけではありません。ストレス、睡眠不足、過度な食事制限、アルコールや薬剤(特に抗生物質)なども腸に負担を与えます。

腸疲労とは医学的な疾患名ではないものの、腸が過剰に働き続けることで機能が低下し不調が現れる状態のこと。
主な症状は、腹部の張り、ガスの増加、便通異常、肌荒れ、疲労感などがあります。腸のバリア機能が損なわれ、腸内の異物(細菌、毒素、未消化物など)が血流に漏れ出す状態である「リーキーガット症候群(腸もれ)」や、腸内細菌の偏り(ディスバイオーシス)として説明されることもあります。
腸疲労の原因は腸活のしすぎだけではありません。ストレス、睡眠不足、過度な食事制限、アルコールや薬剤(特に抗生物質)なども腸に負担を与えます。
つまり腸疲労は、食生活と生活習慣の両面から起こる現代型不調といえるでしょう。

腸活ブームの盲点 「発酵食品=正義」ではない

特定の発酵食品を偏って摂るよりも、納豆・味噌・ヨーグルトなどをローテーションしながら、量より頻度を意識するのがポイントです。

ヨーグルト、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品は、腸内環境を整える善玉菌の味方といわれます。確かに多くの研究で、乳酸菌やビフィズス菌の摂取が整腸作用や免疫調整に関与することが報告されています。しかし、「多く摂れば摂るほど良い」というわけではありません。腸内細菌の種類や比率は人によって大きく異なり、同じ食品でも合う・合わないがあります。腸内で発酵が過剰に進むと、ガスや腹部膨満感、下痢などを引き起こすこともあり、実際に小腸内細菌異常増殖(SIBO)の患者では、発酵食品を控えることで症状が改善したという例もあります。
腸内フローラの理想は多様性です。特定の発酵食品を偏って摂るよりも、納豆・味噌・ヨーグルトなどをローテーションしながら、量より頻度を意識するのがポイントです。過剰な乳酸菌ドリンクを毎日大量に飲むよりも、食事の中で自然に取り入れることが腸にとって優しい習慣になります。

食物繊維も摂りすぎ注意?

食物繊維の摂取目標量は、成人男性21g以上、女性18g以上ですが、これも一気に増やすのではなく、少しずつ・多様にが原則です。

腸活に欠かせないもう一つの重要な要素が食物繊維です。腸内細菌のエサとなったり、腸のぜんどう運動を促したりするなど、腸の健康を支える重要な栄養素です。しかし食物繊維も摂れば摂るほど良いわけではないのです。
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性は腸内の善玉菌を増やすのに有効ですが、不溶性を過剰に摂ると便が硬くなり、逆に便秘や腹部膨満を招くこともあります。理想の比率は水溶性:不溶性=1:2程度。
食物繊維の摂取目標量は、成人男性21g以上、女性18g以上ですが、これも一気に増やすのではなく、少しずつ・多様にが原則です。
オートミール、海藻、根菜、きのこ、果物などを組み合わせて、腸に負担をかけないバランスを心がけましょう。

新・腸活では腸を休ませることを意識

腸の健康には、「動かすこと」と同じくらい「休ませること」が重要です。
腸を休ませるというとファスティングを思い浮かべるかもしれませんが、必ずしも断食という意味ではなく、消化の負担を減らす時間を意識的に作ることがキーポイントとなります。
間食を減らし、食事の間隔を6時間以上開けるだけでも、腸は休息を取ることができ修復機能が活発になると考えられています。食事は、消化の良い野菜スープやお粥をリセット食として取り入れるのも効果的です。
また、夜遅い食事を避け規則正しく食事を取ることで、体内時計を司る概日リズムが整いやすくなり、体の各機能が適切に働くようになります。

ストレスと腸疲労

腸のオーバーワークともいえる状態を、最近では「腸疲労」と呼ぶケースもあります。

腸と脳は、離れていても脳腸相関といい密接に連携しており、脳の状態が腸に、腸の状態が脳にと、双方向に影響し合うことが示唆されています。
ストレスを感じると交感神経が優位になり、腸の血流やぜんどう運動が低下。さらにストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが腸のバリア機能を弱め、炎症を助長することがあります。
腸を整えるには、食べ物だけでなく「心の余白」も必要です。腸内細菌はGABAやセロトニンなどリラックスすることに関わる神経伝達物質の合成にも関わることがわかっており、深呼吸、軽いストレッチ、入浴、良質な睡眠などで自律神経を整えることも、腸を休ませることの一部となります。

関連記事
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
日本内科学会雑誌第108巻第9号 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/9/108_1939/_pdf
NIH https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34796289/

今回のまとめ

腸疲労を防ぐためには、
⚫︎発酵食品や食物繊維を無理なくさまざまな種類をローテーションする
⚫︎消化の時間を意識的に確保するし、腸の休憩時間を設ける
⚫︎ストレスケアを生活の一部にする
が必要です。
腸活というと、「もっと発酵食品や食物繊維を食べなくては」と考えがちです。
けれど本当に腸に必要なのは、休憩時間かもしれません。
自分のお腹の調子を敏感に感じ取り、自分のリズムで整えることが、これからの「がんばらない腸活」の形です。

Category : 雑学/健康・ダイエット

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