太らない炭水化物!?レジスタントスターチにダイエット効果
ダイエット効果のある炭水化物が存在する
ここ何年かの炭水化物抜きダイエット(=糖質制限ダイエット)の流行により、炭水化物(糖質)は太りやすい食べ物として扱われるようになり、控える人が増えてきています。
しかしながら炭水化物の中には、食物繊維と同様の働きをするという特殊かつダイエットに有効な「レジスタントスターチ(難消化性デンプン/耐性デンプン)」という成分を含んでいる食品があるのです。
炭水化物でありながらダイエットに有効なレジスタントスターチとは、一体どういうものなのでしょうか?腸内環境を整えダイエットを促進するための食べ方とは?
【contents】
- ダイエット効果のある炭水化物が存在する
- 食物繊維と同じはたらきをする炭水化物
- レジスタントスターチのダイエット効果
- ①ダイエット効果
- ②腸内環境の改善
- ③美肌・エイジングケア
- ご飯も冷ますことでダイエット向きに変身!
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食物繊維と同じはたらきをする炭水化物
米や小麦などの穀類やいも類などに含まれる炭水化物はデンプンです。
デンプンはブドウ糖がいくつも連なった多糖類と呼ばれるもので、体内に入るとブドウ糖単体に分解され、小腸で吸収され血糖となりエネルギーとして利用されます。エネルギーとして使われなかった余剰分は、脂肪細胞に取り込まれ脂肪となるため、穀類やいも類の食べすぎは太ると言われてきました。
しかし、デンプンの中には消化・吸収されず大腸にまで届き、食物繊維と同じようなはたらきをするものがあることが研究により明らかになりました。それがレジスタントスターチです。
レジスタントスターチのダイエット効果
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、どちらも腸内環境の改善に役立つという共通点はありつつも、それぞれ特徴が異なります。
そして、レジスタントスターチはこれら2つの食物繊維の両方のはたらきをすると考えられていて、第3の食物繊維と呼ばれ今注目されている栄養素です。
不溶性・水溶性の両食物繊維の機能を併せ持つことから、レジスタントスターチには、①ダイエット効果
②腸内環境の改善
③美肌・エイジングケアが期待されています。一つずつ解説していきましょう。
①ダイエット効果
普通のデンプンは体内に入ると、ブドウ糖に分解されたのち吸収され血糖となりますが、レジスタントスターチは小腸で吸収されずに腸内を移動するという特徴があるため、血糖値の上昇を抑える効果があります。血糖値の急上昇はインスリンの過剰分泌につながり、血糖が脂肪に変わるのを促進させてしまいます。ダイエットにおいて血糖値を急上昇させないことはマストです。
血糖値を上げにくいということはダイエット面のみならず、成人病のケアにも効果が期待できることとイコールで、レジスタントスターチを摂取することで血液中の総コレステロールや悪玉コレステロールが低下することも、研究により明らかになっています。
また、レジスタントスターチを多く含んだ食品は、小腸での吸収がゆっくりなため、腹持ちが良くダイエット中に辛い空腹感を緩和することができます。
②腸内環境の改善
レジスタントスターチは炭水化物でありながら小腸で吸収されず、大腸まで届きます。
そして、大腸で不溶性食物繊維のように便のかさを増してぜんどう運動を促進する効果、また水溶性食物繊維のように善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしたり活動を活性化させたりなどの作用があります。これらのはたらきにより、腸内環境を整える効果が期待でき、便通をスムーズにし、ダイエット効果も高めます。
大腸で善玉菌がレジスタントスターチを分解し発酵すると、腸内では酪酸やプロピオン酸、酢酸などの「短鎖脂肪酸」が生成されます。この短鎖脂肪酸は、腸のエネルギー源となり腸のバリア機能を高め、全身の健康に関わっていると考えられている重要な存在です。レジスタントスターチを摂取すると、腸内の短鎖脂肪酸の濃度が高まることが研究により判明しています。
③美肌・エイジングケア
腸内環境が悪化すると、目に見えて影響を及ぼすのが肌です。便秘のときに肌荒れが目立つのが分かりやすい例で、腸内環境が悪いとダイレクトに肌トラブルを起こしてしまいます。
これは腸内で悪玉菌が増えることによって有害物質が産生され、それが血液を通して全身に巡り肌にまで到達するため。
②の「腸内環境の改善」を行うことが、美肌作りには必須です。どれだけ高級なスキンケア商品を使っても、体の内側である腸からきれいにしなければ、外側にも如実に表れてしまいます。レジスタントスターチのはたらきによって美腸を保つことができれば、肌も美しく保つことができるのです。ご飯も冷ますことでダイエット向きに変身!
レジスタントスターチは、穀類、豆類、いも類、パスタ、コーンフレークなどデンプンを多く含む食品に含まれています。また同一の食品であっても、レジスタントスターチの含有量は加熱すると減り、冷ますことで増えるという特性を持つものもあります。
この特性を生かして、例えばお米なら温かいご飯よりも寿司や冷めたおにぎり、じゃがいもならポテトサラダにするなど温度を下げる料理にすることで、レジスタントスターチを増やすことが可能です。
注目したいのが、レジスタントスターチが豊富に含まれていて、しかも加熱調理不要・生食可能な山芋です。すりおろしてとろろにするよりも、切ってたべるほうが効率的にレジスタントスターチを摂取することができるので、短冊切りなど包丁で切る方法がおすすめ。
ダイエットのために炭水化物を抜く人は増えてきていますが、その分食物繊維の摂取量が少なくなってしまっては、本末転倒です。ダイエットに役立つレジスタントスターチを含む炭水化物なら、制限することなく摂取するべきです。
もちろん炭水化物の食べすぎは体型に影響を及ぼしますが、過度な制限は腸内環境を悪化させてしまいます。
正しく取捨選択できるようになりましょう。参考
農林水産省米をめぐる状況について https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/attach/pdf/kome_seisaku_kaikaku-83.pdf
今回のまとめ
レジスタントスターチをダイエットに利用するなら、
●普段の主食を温かい白米ではなく、雑穀や冷ました酢飯やおにぎりなど、レジスタントスターチの含有量が多いものに変える。
●生の山芋を日々の食卓に載せまるようにする。生で食べるなら短冊切りにするほか、ぬか漬けや浅漬けにしてもおいしいので、副菜として添える。
などの方法があります。
ご自身の食生活に取り入れやすい方法で試してみてくださいね。