ダイエットの新常識!カロリーよりも気にするべきはPFCバランス
栄養バランスはどう整える?
世の中にはさまざまなダイエット法がはびこっていますが、基本であり王道でもあるのはやはり食事の内容の見直し、栄養バランスを整えることです。
糖質制限ダイエットや極端な食事制限、特定の食品ばかりを食べるダイエット法などは、体重が早い段階で落ちるとはいえ一時的な減少であることがほとんどです。そうしたダイエット法ではやめた途端に当然リバウンドをしてしまいます。
食事内容の見直しといっても、ただカロリーをセーブすれば良いというわけではありません。栄養バランスを整える必要があるのですが、何をどう整えるのかの考え方として「PFCバランス」というものがあります。
PFCバランスとはどういうものなのでしょうか?食生活への取り入れ方をご紹介します。
【contents】
PFCバランスとは?
PFCバランスとは、体のエネルギー源であり三大栄養素の「P=タンパク質」「F=脂肪」「C=炭水化物(糖質)」が、摂取カロリーのどの程度の割合を占めるかを示した比率のことです。
タンパク質のPはProtein、脂肪のFはFat、炭水化物のCはCarbohydrateの頭文字。
健康的な食生活や、無理のないダイエットをするためには、PFCバランスを意識した食生活を送ることが大切です。
日本人の食事摂取基準(2020年版)で、生活習慣病の予防のために設定しているPFCバランスは以下の通りです。
●タンパク質 13~20%
●脂肪 20~30%
●炭水化物 50~65%
同じ摂取量でも、タンパク質、脂肪、炭水化物ではカロリーが違うため、バランスを考えずに食事の量だけを制限してもカロリーを多く摂取している場合があります。1グラムあたりのカロリーは、タンパク質と炭水化物は4キロカロリー、脂肪は9キロカロリーです。
PFCバランスを意識することで、食品に含まれるカロリーの内訳や栄養素の役割を理解できるようになります。
三大栄養素「PFC」のはたらき
タンパク質、脂肪、炭水化物の体内でのはたらきはそれぞれ異なります。どのような役割があるのかを説明します。
●P…タンパク質
人間の体は、水分を除くとおよそ8割がタンパク質で構成されています。筋肉、血管、皮膚、髪など、体の組織の主成分はタンパク質です。
体の機能を正常に保つのに欠かせない体内酵素を構成しているのもタンパク質ですし、多くのホルモン、神経伝達物質の原材料にもなります。
また、免疫力をキープして病気を予防したり、心の健康に関わったりなど、その働きは多種多様です。
タンパク質が不足すると、筋肉量が減少し基礎代謝量が落ちて太りやすい体になるほか、免疫力の低下、内臓の機能低下、肌や髪につやがなくなるなどのデメリットがあります。
●F…脂肪
脂肪は1グラムあたり9キロカロリーですので、タンパク質や炭水化物の倍以上のカロリーです。そのため太る栄養素というイメージから、極力摂取量をカットするべきと思われがち。脂肪の摂取量が多いと健康面やダイエット面においてもちろんNGであるものの、脂肪も体には必要な栄養素です。
細胞膜の形成や、肌や髪を健康に保つ、脳や神経の機能を保つ、ホルモンの材料になる等の役割があり、不足すると血管が弱くなったり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収が悪くなったりしてしまいます。
また脂肪
には体温を保つ働きがあり、脂質の不足は皮膚のカサつきや低体温の原因にもなります。
●C…炭水化物
炭水化物は体のエネルギー源となるメインの栄養素です。炭水化物と糖質はイコールではなく、炭水化物は糖質と食物繊維が一つになったもの。一方糖質は、糖質のみで構成されています。炭水化物を食べると体内で糖質と食物繊維に分解されます。
脳のエネルギー源として利用可能なのは糖質のみで、タンパク質や脂肪のエネルギーは脳の関門を通過することができません。
炭水化物は食べてからエネルギーに変わるのが早く、タンパク質や脂肪よりも優先的に消費されます。摂取量が消費エネルギーよりも多いと体脂肪となって蓄積されてしまうため、炭水化物抜きダイエット(糖質制限ダイエット)を取り入れる人も多いですが、不足すると疲労感や倦怠感、便秘、腸内環境の悪化などにつながってしまうことがあります。
また、炭水化物が不足すると、体は筋肉を分解しエネルギーに換えるため、筋肉量が低下します。
PFCバランスは「手ばかり」で簡単に量る
このようにPFCにはそれぞれ異なるはたらきがあり、適切なバランスで摂取する必要があります。
とはいえ、食事のたびにPFCがそれぞれ何%ずつのバランスなのか、厳密に計算するのは少しハードルが高いですよね。そこで、手軽に誰でもできる方法としておすすめなのが「手ばかり」です。
この方法は、自分の手を使って何をどれだけ食べれば良いのかを量ることができる、簡単で便利な方法です。
●P…タンパク質
食事の主菜となる肉、魚介類、卵、大豆、大豆製品などの主成分はタンパク質です。
主菜の1食の目安は、厚みも大きさも、指を除く手のひら1枚分です。
食材が偏らないように、1日にいろいろな種類のタンパク質を摂りましょう。
朝は卵や納豆など、昼、夜で魚、肉、豆腐を摂るように心がけると、無理なく自然に取り入れられると思います。
●F…脂肪
バター、マヨネーズ、調理用の油、ナッツ類などの主成分が脂肪です。片方の人差し指と親指で輪を作った程度が1日の目安量です。
揚げ物や炒め物など、油を使った料理は1食につき1品までにしましょう。
●C…炭水化物
主食である米、パン、麺類、野菜ではいも類、かぼちゃなどの主成分が炭水化物です。
1食の目安量は、炊いたご飯の場合なら卵を軽く握ったときのこぶし1つ分が適量です。
お米以外の炭水化物の場合、パンやパスタ、うどん、そばなどは両手のひらに乗る程度の量を目安にしましょう。
いも類やかぼちゃは、野菜に分類されてはいますが炭水化物の量が多いので、副菜として1日にこぶし1つ分までが目安です。
1日のトータルでバランスを取れればOK
PFCバランスを意識して食事内容を考えると、1食ではどうしても比率が悪くなってしまうこともあると思います。例えば、ランチではパスタ、うどんなど炭水化物に偏りがちになりますし、夕食に揚げ物を食べれば脂肪に偏ります。
ランチの炭水化物が多かったなら夕食では減らし、その分タンパク質をしっかり摂るといったように、1日のトータルバランスで考えましょう。必ずしも毎食PFCバランスを最適にしなくても、前後の食事で調整すれば問題ありません。
もちろん、野菜やきのこ類も積極的に食べて、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を補うことも忘れないようにしましょう。
参考
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083872.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100014/092000001/?P=3
農林水産省https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h21_h/trend/part1/chap2/c2_04.html
今回のまとめ
現代の食生活は脂肪の割合が高まってきています。
ほどよく欧米化した食生活であった昭和50年代がPFCバランスに優れ、それより以前は炭水化物に偏っていたそうです。
ご飯と味噌汁を基本に主菜と副菜を揃えた形にすることで、自然とPFCバランスは整います。日ごろの食卓で意識してみてくださいね。