世界の肥満人口が10億人を突破!子どもの肥満も増加
世界の肥満人口が10億人を突破したことが海外の研究により明らかになっています。2022年のデータを基にしたこの研究によると、世界には肥満とされる成人が8億8000万人、子どもが1億5900万人にも登るといいます。一方で、高所得国で2022年に低体重が目立つ国は、日本(女性のみ)だけだったとも指摘されています。
本コラムでは世界の肥満率の実態、特に若年層の肥満問題や低体重が多い国の現状について考察しつつ、健康的な体型やライフスタイルのためには、どのようなことができるのかを提案したいと思います。
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世界の肥満
肥満は世界中で深刻な健康問題として認識されていて、特にトンガ、ナウル、サモアといった太平洋の島々や米国を中心にその割合が増加しています。肥満は、糖尿病や心血管疾患などの慢性的な健康問題のリスクを高める要因となっていて、その予防と管理はますます重要視されています。
上記の太平洋の島々以外では、米国や中南米の国々が肥満率の高い国として挙げられます。これらの国々では、カロリーの高い食事や糖質の高いジュース、ファストフードが日常的に消費されていて、加工食品の普及や外食産業の発展が肥満の主要な原因とされています。さらに、運動不足も肥満の増加に寄与しており、車の利用が増え、歩行や身体活動の機会が減少していることが背景にあります。
また、肥満問題には社会的経済的要因も関連していると考えられています。米国では野菜や果物などヘルシーな生鮮食品は高価格である傾向にあり、健康的な食生活を送るにはコストが嵩みます。低所得者層では安価で高糖質・高脂肪な栄養価の低い食事に頼ることが多く、肥満を引き起こしやすい環境を作り出しています。
子どもの肥満率が大きく増加
世界の低体重の子どもの数は2000年をピークに減少が続いていて、それは好ましいことではありますが、他方で肥満率は劇的に増加しています。まず、生活環境の変化が大きな要因とされています。家庭での食事が簡便化され、地域で昔から食べられてきた健康的な食べ物の摂取量が減り、加工食品や外食の利用が増加しました。これにより、子どもたちが高カロリーで栄養価の低い食事を摂取する機会が増え、肥満のリスクが高まっています。また、テクノロジーの進化により、テレビ、ゲーム、スマートフォン、パソコンなどの使用時間が増え、運動不足が深刻化していることも要因の一つです。
さらに、正しい栄養知識が欠如している子どもたちは、好きな食べ物や手軽に食べられるジャンクフードばかりを食べる傾向があります。これに加えて、広告やマーケティングの影響も無視できません。特に若者をターゲットにした甘い飲み物やスナック菓子の広告が、不健康な食習慣を促進しています。国によっては、不健康な食べ物の広告が規制されることもあるほどなのが現状です。
このような環境の中で育つ子どもや若者に対して、家庭や学校での健康教育の重要性が再認識されています。バランスの取れた食事と適度な運動を日常生活に取り入れることで、子どもたちの肥満リスクを軽減し、健康的な成長を促すことが求められています。
日本人女性はなぜ低体重が多い?
肥満が世界的な問題となっている一方で、低体重の人が多い国々も存在します。サハラ以南のアフリカ、東南アジア、南アジアの国々では、栄養不足や貧困が原因で低体重が問題となっています。そんな中でも例外的に、高所得国である日本において、特に若い女性の間で低体重の割合が高いことが指摘されています。これは貧困による低体重ではなく、やせ志向やダイエットに対する過度な意識が原因とされています。社会的な美の基準がスリムな体型を理想とする傾向が強く、若い女性たちが無理なダイエットを行い、健康を損なうリスクが増しています。
過度なやせ願望への警鐘
過度なやせ願望による無理なダイエットは、摂食障害や健康障害を引き起こすリスクがあります。やせすぎは体力や免疫力の低下を招き、今現在だけでなく将来的な健康問題をも引き起こす可能性が高まります。
メディアやSNS、ファッション業界が提示する「理想の体型」は、多くの場合において現実的ではなく、健康的な基準から外れています。これに影響を受けた社会や若年層は、行きすぎたやせ願望に囚われ、無理なダイエットに走ることがあります。やせることよりも健康的であることの重要性を認識し、バランスの取れた食事と適度な運動を生活習慣にすることが必要です。
健康的な体型とライフスタイル
健康的な体型を維持するためには、食生活とライフスタイルの両方に注意を払うことが重要です。
まず、栄養バランスの取れた食事を心がけることが基本です。野菜、果物、穀物、タンパク質、健康的な脂肪をバランスよく摂取することで、体に必要な栄養素をしっかりと補うことができます。
また、適度な運動を日常生活に取り入れることも欠かせません。ウォーキングやジョギング、筋トレなど、体を動かす習慣を身につけることで血流を良くし代謝を促進し、体脂肪の増加を防ぐことができます。運動をする時間を取れない場合は、日常生活の中でできることを取り入れると良いです。歩くスピードを速くする、階段を上る、自宅ではストレッチや軽い筋トレを行うなど、できることはいろいろあります。
さらに、睡眠やストレス管理も健康維持に重要な要素です。睡眠不足やストレスは食欲を司るホルモンに影響があるので、それらが太る原因になることもあります。十分な休息を取りリラックスする時間を持ち、心身の健康を保つことも大切にしましょう。
関連記事
BBC
https://www.bbc.com/japanese/articles/cy9zyk89d71o
The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(23)02750-2/fulltext
今回のまとめ
健康的な体型とは、個人個人の体質やライフスタイルに合わせたものであることを理解しておきましょう。
他人と比較せず自分自身の心身の健康状態に目を向け、無理のない範囲での目標設定を心がけ続けられる方法を選んでくださいね。
健康的なライフスタイルを続けることで、長期的に健康を維持し、質の高い生活を送ることができます。