鉄不足は美の大敵 貧血が美容とダイエットに及ぼす影響

なんとなく疲れが取れない、肌のトーンが冴えない、髪や肌の乾燥が気になる…こうした不調は、睡眠不足や年齢のせいだと片づけてしまいがちですが、実は鉄不足が隠れていることも多いです。鉄は血液を作るために欠かせない栄養素として知られていますが、実際には全身の細胞に酸素を届ける働きを担い、エネルギー代謝やターンオーバーなど美容やダイエットに直結する役割を果たしています。不足すると体全体へ影響が出やすい鉄の効率的な摂取方法とは?
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日本人女性に多い鉄不足

鉄は消費と供給のバランスが崩れやすい栄養素であり、気づかないうちに不足しやすいのです。
厚生労働省「国民健康・栄養調査(2022年)」によると、20~40代女性の鉄摂取量は1日平均で6~7mg程度。女性に推奨される量は10.5~11mgなので、毎日3~4mg足りていないことになります。さらに、日本女性の20~40代では、約65%が貧血または貯蔵鉄の少ない「隠れ貧血」であるというデータもあります。これは鉄の不足が広く存在していることを示しています。
この背景には、月経による鉄の喪失に加えて、肉類を避けがちな食生活やダイエットの影響があります。鉄は消費と供給のバランスが崩れやすい栄養素であり、気づかないうちに不足しやすいのです。
肌・髪・爪に現れるサイン
鉄が足りなくなると、まず目に見える変化が現れます。顔色が青白く見えたり、くすみが取れなかったりするのは、細胞に酸素が十分に届いていないサイン。肌のターンオーバーも滞るため、乾燥や唇の皮むけなども増え、シミやクマも目立ちやすくなります。
髪はハリやコシがなくなり、抜け毛が増える傾向があります。爪も割れやすく、二枚爪になりやすいのも鉄不足の典型的な症状です。美容の土台が鉄によって支えられていることがよくわかります。
鉄とダイエットとの関係

鉄不足の状態では細胞に酸素が行き渡らず、脂肪をエネルギーに変える仕組みがスムーズに働きません。
鉄はエネルギーを作る代謝にも深く関わっています。鉄不足の状態では細胞に酸素が行き渡らず、脂肪をエネルギーに変える仕組みがスムーズに働きません。そのため代謝が下がり、同じ運動をしても消費エネルギーが少なくなってしまいます。
さらに疲れやすくなるため活動量も落ち、消費カロリーが減るという悪循環に陥ります。実際に、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の報告でも、鉄不足の女性は運動持久力が低下しやすいことが示されています。つまり、やせにくさを感じている場合、鉄の不足が関わっている可能性もあるのです。
効率良く鉄をとる工夫
鉄は大きく分けて「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は動物性食品に含まれ、体への吸収率は10~20%、非ヘム鉄は植物性食品に含まれ、吸収率は1~6%とその差は大きいです。鉄を積極的に摂取したい場合は、ヘム鉄の多い動物性食品を食べるほうが効率的です。
<ヘム鉄が豊富に含まれる食材>
豚・牛・鶏のレバー、赤身の肉、マグロ、イワシ、カツオ、アジ、かき、あさりなど
<非ヘム鉄が豊富に含まれる食品>
切干大根、小松菜、ほうれん草、枝豆、納豆、海藻類、パセリなど
鉄の吸収をサポートする食品

食事だけで十分に補えない場合、鉄サプリを利用するのも一つの方法です。
鉄を多く含む食材だけを食べるのではなく、鉄の吸収率を高める食品や、造血に必要な栄養素が含まれる食品を一緒に食べることで、より効率的に鉄を体にチャージすることができます。
吸収率を高めるビタミンCが多く、造血に必要な葉酸も含むブロッコリー、サニーレタス、小松菜、ほうれん草、苺、かんきつ類などは特におすすめです。
ビタミンB12は造血に必要な栄養素で、肉、魚、貝類、卵、チーズなど動物性タンパク質や海苔に多く含まれています。野菜ばかりを食べていては不足してしまう栄養素です。いろいろな食品をバランスよく食べることを意識しましょう。
サプリメントの活用は慎重に
食事だけで十分に補えない場合、鉄サプリを利用するのも一つの方法です。ただし鉄は過剰摂取によるリスクもあるため、安易に高容量をとるのは避けたいところ。厚生労働省が定める1日の耐容上限量は成人女性で40mg。鉄サプリを継続的に摂る場合は、サプリに含まれる鉄の含有量を確認し、できれば血液検査でフェリチンの値を確認し、必要に応じて取り入れるのが安心です。
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厚生労働省 令和5年 国民健康・栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf?utm_source=chatgpt.com
厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/anemia.html?utm_source=chatgpt.com
NIH https://ods.od.nih.gov/factsheets/Iron-HealthProfessional/?utm_source=chatgpt.com
日本臨床検査専門医会 https://jaclap.org/guests/common_no403/
今回のまとめ
鉄不足は、美容やダイエットに直結する栄養素でありながら、つい見落とされがちです。
疲労感や肌トラブルを招くだけでなく、将来の健康リスクにも関わってきます。
鉄を含む食品の摂取に加え、ビタミンCや動物性たんぱく質などと組み合わせる工夫で吸収率を高めることが重要です。
鉄だけでなく、ダイエット中であっても必要な栄養素を日常的にきちんと摂ることが、美と健康維持に欠かせません。

































