糖質制限ダイエットによくある「タンパク質なら太らない」は誤解

ここ数年、糖質制限(ローカーボ)ダイエットが定番の人気を集めています。
お米やパン、うどん、パスタなどの糖質を多く含む主食を控えるだけでよいというシンプルさが支持され、手軽に始められるのも魅力です。
一方で、「糖質さえ減らせば、肉や魚は好きなだけ食べても太らない」という認識が広まっていますが、これは誤解です。タンパク質の摂りすぎは、場合によっては体に負担をかけたり、脂肪として蓄積されたりすることがあります。タンパク質の摂取量はどの程度が適量なのか、そしてその適量を簡単に知る方法とは。
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タンパク質は重要だが摂りすぎはNG

タンパク質が不足すると筋肉が分解され、基礎代謝が低下します。
タンパク質は、筋肉・皮膚・髪・爪・臓器など、体のあらゆる組織の材料になる欠かせない栄養素です。また、ホルモンや酵素、神経伝達物質の合成にも関わっており、生命維持に不可欠な役割を担っています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日の推奨量は成人女性で50g、男性で65g程度とされています。体重1kgあたりに換算すると、運動量が少ない人で0.8〜1.0g、運動量が多い人では1.2〜2.0gが目安です。(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)
タンパク質が不足すると筋肉が分解され、基礎代謝が低下します。その結果、同じ食事量でも消費されるエネルギーが減り、脂肪が蓄積しやすくなるため太りやすくやせにくい体になってしまいます。その一方で、必要以上に摂取した場合には、エネルギーとして使われなかった分が脂肪に変わり、結果的に体重増加につながることもあります。
タンパク質も摂りすぎれば太る

「タンパク質は太らない」と思って無制限に食べてしまうと、摂取カロリー>消費カロリーとなり、脂肪として蓄積される原因になります。
タンパク質は1gあたり約4kcalのエネルギーを持ちます。これは糖質と同じで、「カロリー」という観点では同等です。摂取したタンパク質は体の構成や修復に使われますが、余計に摂取した分は分解され、最終的に脂肪として蓄えられることがあります。
さらに、タンパク質を代謝する際には腎臓や肝臓に負担がかかることが知られています。健康な人であれば日常的に多少多めに摂っても大きな問題はありませんが、長期的に摂りすぎると、腎機能への影響を指摘する報告もあります。
糖質制限中はご飯やパンといった炭水化物を減らす分、物足りなさから肉などタンパク質食品を多く摂りがちになります。しかし「タンパク質は太らない」と思って無制限に食べてしまうと、摂取カロリー>消費カロリーとなり、脂肪として蓄積される原因になります。
つまり、ダイエットの基本であるエネルギーバランスは、糖質制限中であっても変わりません。
どのくらいが目安?「手ばかり」で考えるタンパク質量

自分の手を目安とする「手ばかり」のこの方法であれば、簡単に適量を知ることができます。
タンパク質は、魚・肉・卵・大豆製品などに多く含まれています。
タンパク質の含有量の目安は以下の通りです。
牛もも肉100g → 約20g
鮭1切れ(80g)→ 約18g
卵1個 → 約6〜7g
納豆1パック → 約8g
1食あたりに摂るべき上記のタンパク源の量は、細かな計量をする必要はありません。わざわざ計らなくても、自分の手のひら(指を除く)1枚分の厚みと大きさを目安にすることでほぼ適量となります。これを1日3回、さまざまな食材からバランス良くこの量を摂るのが理想的です。自分の手を目安とする「手ばかり」のこの方法であれば、簡単に適量を知ることができます。
朝は卵や納豆、昼は魚、夜は肉や豆腐など、動物性と植物性のタンパク質を組み合わせて摂ると、体内で合成できない必須アミノ酸を補い合うことができます。この多様性こそが、健康的な代謝と筋肉維持のキーポイントとなります。
バランスの取れたタンパク質摂取を
高タンパク・低糖質の食事を長期間続けた場合、腎臓への負担や栄養バランスの偏りが起こる可能性があります。そのため短期間で極端な糖質制限を行うよりも、主食をやや控えつつ、1日あたり体重1kgあたり1~1.5g程度のタンパク質を意識的に摂ることが、持続しやすく健康的なアプローチといえるでしょう。
今回のまとめ
糖質制限ダイエットにおいても、「タンパク質ならどれだけ食べても太らない」というのは誤解です。
タンパク質は美容と健康に欠かせない栄養素ですが、摂りすぎればエネルギー過多となり、脂肪として蓄積されることがあります。
大切なのは、糖質・脂質・タンパク質のバランスを取りながら、適量を継続的に摂取すること。
無理なくバランスの取れた食事を心がけることが、健康的にやせ体質をつくる最短ルートです。

































