脂肪燃焼させるなら運動前にコーヒーを飲むべし?
コーヒーは眠気覚ましだけでなく、さまざまな健康効果があるということが知られています。例えば、成人病のケアや消化促進、集中力アップ、そしてダイエット効果があるともいわれています。一方で発ガン性、胃潰瘍の助長、貧血等のデメリットがあるされるなど、メリット・デメリットの両面があるようですが、適量を守りつつうまく取り入れればメリットのほうが大きいかもしれません。今回は、コーヒーを飲むことのメリットのひとつであるダイエット効果に注目してみました。うまく利用しコーヒーダイエットを成功させるには、どのようなポイントがあるのかを解説します。
【contents】
1日2杯のコーヒーで体脂肪率が低下
コーヒーのダイエット効果についての研究はいくつもあります。そのうちのひとつをご紹介します。
英アングリア・ラスキン大学の調査チームは、1日2杯以上のコーヒーで体脂肪率が下がる可能性を明らかにしました。
米国民健康栄養調査のデータを2年かけて分析し、コーヒーを毎日2〜3杯飲んでいた20〜43歳の女性は、時々しか飲まなかった女性に比べて、体脂肪率が3.4%低いという結果になりました。また、コーヒーを毎日4杯以上飲んでいた45〜69歳の女性は、体脂肪率が4.1%も低いという結果に。しかも、この体脂肪率を下げる作用はデカフェ(カフェインの含まれないコーヒー)にも見られたといいます。
調査チームリーダーによると、これはコーヒーに含まれるカフェイン以外の生物活性化合物に体重を調節する潜在能力があるためとのこと。
「コーヒー、またはコーヒーの有効成分を健康的な食生活の一部にすれば、肥満に関係する慢性疾患の負担が軽減されるかもしれません」とチームリーダーは述べています。
これは多くの人にとって歓迎すべきことかもしれません。しかしコーヒーを飲みすぎないことです。カフェインの過剰摂取で血圧が高くなると、心血管系疾患のリスクも高くなります。
一般的にコーヒーの上限は1日4〜6杯です。これを守るようにしましょう。
運動前にコーヒーを飲むことでダイエット効果
コーヒーに含まれるカフェインの作用は、眠気覚まし効果が最も知られていますが、脂肪燃焼の働きもあります。上記の研究ではコーヒーに含まれるカフェイン以外の成分にダイエット効果があるとのことでしたが、カフェインにもダイエット効果があることが分かっています。
カフェインを摂取するとリパーゼという消化酵素が活発になります。リパーゼは体脂肪を遊離脂肪酸とグリセリンに分解し、エネルギーとして使用できる形に変える働きをしています。遊離脂肪酸というのは、脂肪組織から血液に放出されエネルギー源として活用される脂肪のことです。この働きを利用し、運動前にコーヒーを飲みカフェインを摂取することでダイエット効果を高めることができます。脂肪燃焼が促進されるため運動時のエネルギー消費が増えるとされています。
運動をするにはもちろんエネルギー源が必要です。なので、血液中のエネルギー供給量を増やす働きをするカフェインを摂取することで、使用される遊離脂肪酸の量が増加すると同時に、血流を促進するアドレナリンの濃度が2倍以上に増えます。
カフェインは運動によるダイエット効果を高めるだけではなく、エネルギーが消費されることで脂肪分解が一段と活発になります。
運動を始める20〜30分前にコーヒーを飲むと良いでしょう。 量を多く飲むほど効果が高まるというわけではないので、1杯のコーヒーを(なるべくブラックで)リラックスして飲みましょう。
さらに、コーヒーにはカテキンやクロロゲン酸といったポリフェノールも含まれており、これらは抗酸化作用があり、代謝を促進する作用があります。ただしクロロゲン酸は脂肪吸収を抑制する効果があるとされてはいるものの、この成分は熱に弱くコーヒー豆の焙煎時にほとんどが分解されてしまうそうです。浅煎りと深煎りなら、浅煎りのほうがクロロゲン酸は多く含まれます。
飲み過ぎに注意!
ある研究で、1日に250mg以上のカフェインを摂ると、夜中に目が覚める回数が多くなることが分かっています。カフェインの摂り過ぎは睡眠の質を下げ、体や脳をゆっくり休ませることができません。
コーヒー以外では緑茶やコーラにもカフェインが含まれています。この一覧を参考にしてみてください。右のグラム表示がカフェイン量です。
コーヒー (インスタント) 150ml : 65mg
コーヒー (ドリップ) 150ml : 100mg
緑茶(煎茶) 150ml : 30mg
紅茶 150ml : 30mg
コーラ 350ml : 35mg
濃さにもよってカフェイン量は多少異なりますが、ドリップコーヒーなら基本的には1日2杯くらいまでにしましょう。
ダイエットを目的にコーヒーを飲む場合、やはりできるだけブラックで飲むことをお勧めします。コーヒー自体にはカロリーがありませんが、砂糖とミルクでカロリーがアップします。これを1日に何杯もとなると、トータルでは相当なカロリーになってしまいます。どうしても入れたい場合は、ミルクなら無脂肪や低脂肪のもの、砂糖は少しにするか代わりにはちみつを少量入れるなどしましょう。
関連記事
CDC https://www.cdc.gov/nchs/nhanes/index.htm
Anglia Ruskin University https://www.aru.ac.uk/news/coffee-linked-to-lower-body-fat-in-women
Journal of international society of sports nutrition https://jissn.biomedcentral.com/counter/pdf/10.1186/s12970-020-00400-6.pdf
Inbody https://www.inbody.co.jp/caffeine-bodycomp/
農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
今回のまとめ
コーヒーダイエットといっても、たくさんの量を飲むほどダイエット効果が高まるわけではありません。
カフェインの過剰摂取は絶対にNGです!
カフェインを過剰に摂取し中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。
長期的には高血圧リスクがあります。
必ず適量を守ったうえで、コーヒーのメリットを享受しましょう。