腸内に「やせ菌を増やす」ダイエットに効果的な方法とは?
腸内細菌には「やせ菌」がいる
「腸活」「菌活」などのワードがポピュラーになったここ数年で、ダイエットや健康は腸内環境が非常に大きく関わっていることが広く知られるようになりました。
栄養の消化吸収を行い、有害なものは排出する器官である腸には、およそ100~1000種、100兆個にも及ぶ腸内細菌が存在しています。
この菌群は腸内フローラ(腸内細菌叢・ちょうないさいきんそう)と呼ばれていて、菌の種類は大きく3つに分類され、善玉菌、悪玉菌、日和見菌があります。
菌の種類やバランスは、生活習慣・食べ物・年齢・ストレスなど多くの要因によって変化し、体調や体質までをも左右します。
悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことが「腸内環境を整える」ということになるのですが、腸内細菌の中には「やせ菌」が存在し、やせやすいか・太りやすいかという体質も、腸内細菌によって変わってくるのです。
【contents】
- 腸内細菌には「やせ菌」がいる
- 腸内細菌の種類
- 腸内細菌は4つのグループに分かれる
- やせ菌が生成する「短鎖脂肪酸」にダイエット効果
- やせ菌を増やすには?
- 水溶性食物繊維、オリゴ糖
- レジスタントスターチ
- 発酵食品
- 毎日続けて食べることで効果が
腸内細菌の種類
腸内の菌の数は、善玉菌と悪玉菌の一方が増殖すればもう一方が減るというように、一定数に保たれるようになっています。
健康な人の腸は善玉菌が悪玉菌を抑えバランスが維持されますが、様々な原因で菌のバランスが悪玉菌優勢になると腸内環境が悪化します。日和見菌は善玉菌と悪玉菌の優勢なほうに味方をします。
腸内細菌は4つのグループに分かれる
腸内細菌は大きく分けると善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類ですが、さらに「門」と呼ばれる分類階級によって大別されます。人の腸内細菌のほとんどは、以下の4つの門に属しています。
①バクテロイデス門
②フィルミクテス門(ファーミキューテス門)
③プロテオバクテリア門
④アクチノバクテリア門
④のアクチノバクテリア門は善玉菌、③のプロテオバクテリア門は悪玉菌、①のバクテロイデス門と②のフィルミクテス門は日和見菌です。
この4つの門の割合は年齢や肥満などの健康状態により異なるという研究結果が報告されています。
この中で「やせ菌」だと言われているのが、日和見菌であるバクテロイデス門です。腸内フローラの研究で、やせ型の人からに多く検出されています。
やせ菌が生成する「短鎖脂肪酸」にダイエット効果
やせ菌(バクテロイデス門)は、腸内で「短鎖脂肪酸」という物質を生成します。短鎖脂肪酸は、酢酸・酪酸・プロピオン酸などがあり、脂肪や糖質の吸収・蓄積を減らし、全身の代謝を活性化するため、生活習慣病や肥満対策には欠かせない物質です。
短鎖脂肪酸の腸内での働きはほかに、腸内を弱酸性に保ち悪玉菌の活動を抑制、腸のぜん動蠕動(ぜんどう)運動 を促進して便通を良くする、殺菌・抗炎症作用、腸のバリア機能を高める、幸せホルモン「セロトニン」の分泌を促進するなど、非常に多岐に渡ります。
バクテロイデス門は日和見菌ですので、腸内の善玉菌が悪玉菌よりも優勢な状態であることにより、その力が発揮されます。
やせ菌を増やすには?
やせ菌や善玉菌が好むのは、食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食品、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)、そして発酵食品です。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、どちらも腸内環境を整えることには必要ではありますが、やせ菌は水溶性食物繊維やオリゴ糖、レジスタントスターチを消化する際に、短鎖脂肪酸を生成します。よって水溶性食物繊維・オリゴ糖・レジスタントスターチが含まれている食品を毎日食べることが重要となります。
水溶性食物繊維、オリゴ糖
水溶性食物繊維は、名前の通り水に溶ける種類の食物繊維。水分保持力が強く、水に溶けるとドロドロのゲル状になります。
水溶性食物繊維の含まれる食品は、キャベツ、アボカド、いも類、熟した果物、わかめなど海藻、納豆、オクラ、大麦、ライ麦など。
オリゴ糖は糖質の一種ですが、糖として体に吸収されにくく、腸内で分解される際に短鎖脂肪酸が生成されます。
オリゴ糖は、大豆、玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、バナナなどに含まれています。
一方の不溶性食物繊維は、豆類や穀類、根菜類などに多く含まれています。短鎖脂肪酸を作ることに関わっているわけではありませんが、こちらもダイエットには必要な栄養素です。不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、胃や腸で水分を吸収し大きく膨らみます。これにより、便のかさ増しや、腸を刺激して蠕動 (ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。
レジスタントスターチ
やせ菌を増やし、短鎖脂肪酸を生成させるには、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」も有効です。
レジスタントスターチは、糖質の一種でありながらも食物繊維と同じような働きをします。胃や小腸で消化されないため、でんぷん=糖質であるにもかかわらずエネルギーになりにくい、つまり太りにくい糖質という特性を持っています。
普通の糖であれば消化されやすいため、小腸の上部に近いあたりで吸収されてしまいますが、レジスタントスターチは難消化性であるがゆえに、腸の奥まで到達することが可能。腸の奥のほうにはビフィズス菌などの善玉菌が多く、糖が到達することできればやせ菌や善玉菌のエサとなるのです。
レジスタントスターチは、インゲン豆などの豆類、いも類、コーンフレーク、米、大麦などに多く含まれています。レジスタントスターチは加熱すると大幅に減ってしまいますが、冷めると増える性質があります。そのため、温かいご飯ではほとんど期待できないものの、冷えたご飯であればより多くのレジスタントスターチを摂取することができます。
発酵食品
短鎖脂肪酸は腸内の善玉菌や日和見菌によって生成されるとは言え、そもそも腸内にこれらの菌が少ないと、十分に作り出すことができません。善玉菌そのものを含む発酵食品を日常的に食べるようにしましょう。善玉菌は腸に届く前にほとんどが死滅してしまいますが、必ずしも生きたまま腸に届かなくても、腸内環境を整える作用があります。
身近な発酵食品は、味噌、納豆、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、チーズなど。
こうした発酵食品は食物繊維やオリゴ糖と同時に摂取することで相乗効果が得られます。
毎日続けて食べることで効果が
腸内環境が変わるスピードは速く、24時間程度と言われています。ですので、やせ菌を増やす食事は単発では効果がなく、続けることが何よりも重要。最低でも2週間は毎日こうした食生活を継続してみてください。食生活を元に戻せば、腸内環境も元に戻ってしまいます。腸の状態は体質に大きく影響を与えていますから、今現在自分の体質を何とかしたいと考えるのであれば、食べ物や生活習慣を見直す必要があるかもしれません。
参考サイト
e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
公益財団法人 腸内細菌学会
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw041.shtml
今回のまとめ
まとめ
腸内環境のやせ菌を増やし活性化させることが、やせ体質になるための1つの方法と言えます。
腸を整える食べもの物を毎日取り入れて、「食べてやせる」健康的なダイエットを目指しましょう。