肌の衰えはタンパク質不足のせい?現代人はタンパク質が不足ぎみ
タンパク質不足が肌にも影響
筋力の衰え、肌のハリ不足は年齢のせいでしょうか?実は、それは加齢のせいだけではありません。タンパク質不足が原因になっている可能性があります。体を健やかに保つのにも美しさを作るのにも、タンパク質が重要な役割を果たしています。年齢を重ねているほど意識してしっかり摂取するべきなのがタンパク質です。
きちんと食べているつもりの人も、今までの摂取方法や量が間違っていたかも?
【contents】
- タンパク質不足が肌にも影響
- 現代人はタンパク質が不足している
- 体を構成するのにはタンパク質が必須
- タンパク質が不足すると起こること
- ①太りやすくなる
- ②美肌の材料になっているのもタンパク質
- ③タンパク質は心にも作用する
- タンパク質はどのぐらい摂取すれば良い?
- タンパク質と一緒に摂りたい栄養素は?
現代人はタンパク質が不足している
筋トレなどワークアウトブームによって、タンパク質をしっかり摂ることについての意識は高まってきています。しかし実際には、多くの現代人はタンパク質が不足ぎみだというデータがあります。厚生労働省の調査によると、現在の日本人の1日平均タンパク質摂取量は、戦後間もない1950年代と同水準だそうです。最も摂取量が多かったのは1995年で、2017年と比較すると約85%にまで落ちています。平均値ですのでもちろん摂取量は人によりますが、不足している人が増えていることは間違いなさそうです。
タンパク質の摂取量が減っているのは、ダイエットやメタボリックシンドローム予防などの意識の高まりにより、食べる量を減らしているケースが多いと考えられています。
体を構成するのにはタンパク質が必須
タンパク質は筋肉や内臓、血液、肌など体を作る元となる基本成分の一つで、人間の体の約2割弱はタンパク質で構成され、6割強は水分です。
体の機能を正常に保つのに欠かせない体内酵素を構成しているのもまたタンパク質ですし、多くのホルモン、神経伝達物質の原材料にもなります。また、病気を予防したり心の健康にも関わるなど、その働きは多種多様です。
体内のタンパク質は数万~10万種にも及びますが、それを構成しているアミノ酸はたったの20種です。20種類のアミノ酸は体内で作ることのできる「非必須アミノ酸」が11種、体内で作れず食品から摂取しなければならない「必須アミノ酸」が9種あります。これらのアミノ酸すべてに重要な役割があるため、不足しないように補う必要があります。
タンパク質が不足すると起こること
①太りやすくなる
タンパク質不足の初期に起こる現象として、筋肉量が減少することが挙げられます。
筋肉量が減少すると特に運動しなくても生命維持のため自動的に体で消費されるカロリー(基礎代謝量)が落ちてしまいます。
さらに、やせにくくなるだけではなく、同じ食事量なら基礎代謝量が落ちた分だけ体内でカロリーが余るようになり、その分は脂肪として蓄積されます。
太るのを避けるためには、その余剰カロリーは運動などで消費しなければなりません。つまり、基礎代謝量が落ちると太りやすい体になってしまうということです。
②美肌の材料になっているのもタンパク質
皮膚は外側の表皮と、深部の真皮という層に分かれています。表皮の最も外側の角層を作る角層細胞は、内部にケラチンという繊維状のタンパク質を大量に抱え、外的刺激から肌を守っています。
また真皮には肌のハリを保つコラーゲンや、それをつなぎとめ肌の弾力を保つエラスチンなどが存在していますが、これらもタンパク質でできています。
さらに、同じく真皮にあり水分を保つ役割として重要な、ヒアルロン酸を作る酵素もタンパク質です。つまり、シワやたるみ、乾燥を防ぎ、ハリ、弾力、ツヤ感のある肌を作るには、真皮のタンパク質のクオリティーを高めることが重要となります。
食事から摂るタンパク質が不足すると、美肌を作る元となっている上記の物質を生成できる量が減り、クオリティーが下がってしまうことになります。タンパク質なくして美肌を作ることはできないのです。
③タンパク質は心にも作用する
人間の脳内では1000億ともいわれる神経細胞を情報が行き来し、感情や思考を生み出していると考えられています。この時必要になるのが、情報伝達物質です。喜びを感じさせるドーパミンや、心を穏やかに保ってくれるセロトニンなど、さまざまな情報伝達物質がありますが、主な原料はタンパク質です。
メンタルヘルスのトラブルは、ストレスなど複数の要因が重なって発症しますが、神経伝達物質の不足が原因の一つです。つまり原料であるタンパク質は欠かせないということになります。
タンパク質はどのぐらい摂取すれば良い?
タンパク質の摂取量は、1日あたり体重1kg×1gが基本です。体重50kgの人であれば1日50gということです。この量を1日の食事の中で分散して摂るようにします。
タンパク質を多く含んでいる食品は、肉、魚、大豆、大豆製品、卵です。
タンパク質50gというと、ビーフステーキなら120g、鮭の塩焼き1切れ、卵1個、牛乳1杯(200cc)、納豆1パックのすべてを合わせた程度の量です。1日にいろいろな種類のタンパク源を食べましょう。 朝は卵や納豆など、昼、夜で魚、肉、豆腐を摂るように心がけると無理なく取り入れられると思います。
一種類のタンパク源から必要量のすべてを摂るのではなく、組み合わせて食べると体内で合成できない「必須アミノ酸」を補い合えると同時に、その他の栄養素もバランス良く摂ることができます。
また、ダイエット中だからと言って肉を避ける必要はありません。ただし脂身の多い肉よりも少ないもの、脂を落とす調理法を選んでください。
タンパク質と一緒に摂りたい栄養素は?
知っておきたいのが、タンパク質と一緒に摂取すると相乗効果が得られる栄養素です。一つの食材に偏ることなく、下記の栄養素を含む食品も併せて食べることで、タンパク質が筋肉や肌の組織に合成されます。
●銅
銅は、タンパク質が鉄と結合してヘモグロビンという赤い色素になり、赤血球を作るのを助けてくれる栄養素です。鉄が十分に存在していても、銅がなければ赤血球はうまく作れないとも言われています。意識的に摂り、貧血の予防をしましょう。【銅を含む食材】レバー/魚介類/するめ/ナッツ類/大豆など
●ビタミンC
美肌効果や風邪の予防、免疫力アップに効果を発揮するビタミンC。細胞の強化をしてくれるタンパク質と一緒に摂ることで、免疫力がさらに増強すると言われています。【ビタミンCを含む食材】赤ピーマン/ブロッコリー/キャベツ/芋類/キウイフルーツ/いちごなど
●ビタミンB6
ビタミンB6は、たんぱく質を代謝してアミノ酸へと変える手助けをしてくれる栄養素。そして、分解されたアミノ酸を、体内で必要な部分に合った形へと変える手助けをしてくれます。【ビタミンB6を含む食材】かつお/まぐろ/バナナ/レバー/バナナなど
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厚生労働省 国民栄養の現状(1947〜1993年)国民栄養調査(2003年以降)
日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf
日本食品標準成分表(2015)(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm
今回のまとめ
ダイエットでやせるためにも、筋肉をつけるためにも、美肌のためにも、これらに共通する必要な栄養素はタンパク質です。
むやみな食事制限ではキレイになれません。
それどころか、とにかくやせればいいという考えは、健康をも損ねてしまいます。
ただ、グラム数まで毎食気にして食べるのは難しいと思います。
大まかな目安としては、1食に手のひら1枚分のタンパク源です。この量を目安に食べましょう。